バー・ツール ナランハ メールマガジン Vol. 45 (2009年6月4日 発行)

メンテナンスの都合上、外部サイトへのリンクは非表示にしています。

        ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 バー・ツール ナランハ インフォメーション メールマガジン

           https://www.naranja.co.jp/bar

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.45(2009.6.4 発行) ━━

 ☆ MENU ☆

 1.クエイヒ by S
 2.WFA グレーディングテスト by N
 3.カタログ配布
 4.新商品情報・お知らせ
 5.スタッフ募集中!
 6.休業日のご案内
 7.次回発行日のご案内
 
 登録・解除はこちら https://www.naranja.co.jp/bar/news-letters


==================
 1.クエイヒ ~親愛なるあなたへ~ by S
==================
 
 初めて飲んだのは時は「セメダイン?」と本気で思い、2度と飲むまいと思っ
 ていたウイスキー。気がつけば「ピートのフレーヴァーがたまらないですね」
 なんてセリフも口をついて出てくるほど、今ではすっかりその虜に。

 そんなスコッチ大好きな私が今回ご紹介するのは、スコットランドに伝わる
 スコッチ用の特別な酒盃「クエイヒ(Quaich)」。その名前はスコットランド・
 ゲール語で「カップ」を意味するCuachに由来します。似ていますが決して
 エイヒレが由来ではありません。ちなみにクエイクと表記する場合もあるよ
 うで、発音的にはちょうど両者の中間のような音らしく、弊社では一般的に
 正しいとされている「クエイヒ」で統一しております。

 その形状は独特で、底が浅く、台座があり、両端に2つの取っ手が付いてい
 ます。錫が主成分の合金「ピューター」製で大変錆びにくく、柔らかで落ち
 着いた銀白色の金属光沢が特徴です。

 サイズは大小2種類あり、大には18世紀後半に活躍したスコットランドの国
 民的大詩人、ロバート・バーンズの代表作で、スコットランド民謡でもある
 「オールド・ラング・サイン」の一部が刻まれています。ちなみにこの作品
 は日本の「蛍の光」の原曲としても有名です。

 17世紀頃に生まれたこの盃はスコットランド北部のハイランド地方を起源と
 し、賞品や記念品として贈呈される、スコットランドでは大変ポピュラーな
 ものです。基本的に普段の飲酒では使われませんが、歓迎や別れの席やウエ
 ディングなどでの乾杯に、そして特別な儀式に用いられます。

 とまあここまではインターネットで調べてなんとか分かったのですが、実際
 にどう使うのか?儀式っていったい?と、分からないことだらけで・・・
 そこで毎月恒例のバー巡りついでに調査をするため、評判の某モルトバーへ。
 とても良いバーで接客も心地良かったのですが「クエイヒのことは知ってい
 るけれど詳しくは分からない」とのこと。このまま手ぶらで帰るのもどうか
 と思い、アイラのモルトで唯一飲んだことの無かったカリラをいただき、現
 在稼動している7ヶ所の蒸留所を制覇。そして昔から一度食べてみたかった、
 羊の内臓を羊の胃袋に詰めて茹でたスコットランドの伝統料理「ハギス」の
 ピザを、その塩気がハギスと相性抜群なラガヴーリンで堪能してきました。

 そうこうしているうちにメルマガ発行前日に。もうバーに行っている暇は無
 いし・・・というわけでナランハと同じ町内、徒歩5分くらいのところにあ
 ある「スコッチモルト販売株式会社」様に電話をし、急遽取材決定。営業事
 業部の島村様にお話をお伺いすることができました。

 スコットランドではロバート・バーンズの誕生日である1月25日をバーンズ・
 ナイトと呼び、「ハギスの儀式」と呼ばれるセレモニーが各地で行われます。
 儀式はバグパイプを演奏するバグパイパーを先頭に、チーフテンと呼ばれる
 執行役、ハギスを運ぶハギスベーラー、そしてウイスキーを運ぶウイスキー
 ベーラーが入場します。そしてハギスを前にチーフテンが、バーンズの「ハ
 ギスに捧げる詩(Address to a Haggis)」を朗読。最後に切り分けたハギスを
 参加者に振る舞うというもので、この儀式にはスコットランド人としての誇
 りを再確認する意味合いがあるそうです。ちなみに島村様は今年1月に日本
 で行われたバーンズ・ナイトのハギスの儀式で、ウイスキーベーラーの大役
 をお務めになられたとのこと。道理でお詳しいわけです。

 さて、この儀式の中で乾杯をするのですが、そこでクエイヒが登場します。
 なみなみと注がれたウイスキーは余裕でダブル(60ml)を超える場合もあり、
 スコットランド・ゲール語で乾杯を意味する「スランジバー!」の号令とと
 もに、両手で取っ手をつかみ一気に飲み干します。両手でつかむのは、争い
 が絶えない部族同士が盃を交わす際、武器を持っていないことを示したこと
 に由来しているそうです。そしてすぐにクエイヒを逆さにし、飲み干したこ
 とを相手に示します。1回の儀式で場合によっては3~4回!は乾杯を行う
 らしく・・・強烈ですね。

 ------------------

 かくして取材は1時間以上にも及びました。突然の申し出にも関わらず、心
 よく応じていただき、また様々な資料やスコッチをお探しいただきまして、
 本当に感謝しております。この場を借りて御礼申し上げます。島村様、どう
 もありがとうございました!

 スコッチモルト販売株式会社様では、様々な素晴らしいスコッチを販売され
 ていらっしゃいます。最下部のホームページをぜひご覧ください。


 聞きたいことは全て聞けました。使い方も分かりました。あとは実践あるの
 み。大事な儀式なので、クエイヒ発祥の地、ハイランド地方のシングルモル
 トでいきたい旨を島村様にお伝えすると、出てきたのはボウモア蒸留所で20
 年にわたりゼネラル・マネージャーを務めていたブライアン・クルック氏が
 設立したボトラーズの代表的ブランド「ザ・クーパーズ・チョイス」のグレ
 ンオード9年。シングルバレルで冷却濾過をしていないアンチルフィルター
 ド。試飲させていただきましたが、柔らかな口あたりで蜂蜜のような甘さと
 わずかに残るスパイシーさのバランスが絶妙。迷わず購入しました。


 ではこれよりハギスの儀式を執り行います。肝心のハギスを買い忘れました
 が、どうかお許しを。使うのはクエイヒ大。容量130ml。グレンオードをなみ
 なみと。確実にトリプル(90ml)以上はありそうです。度数46度。
 これを一気で・・・危険な香りがしてきましたが、もう後戻りできません。
 
 「友よ、古き昔のために、親愛のこの一杯を飲み干そうではないか。」

 カップの底に刻まれた言葉を胸に・・・スランジバー!!


 ・・・これは・・・とんでもなく・・・強烈です(汗)

 皆様もハギスの儀式の際はくれぐれも量を控えめに。そしてハギスを忘れずに。

--[ 関連情報 ]--------------------------------------------------------
クエイヒ
https://www.naranja.co.jp/bar/web-pages/190 
スコッチモルト販売株式会社 (外部サイト)
----------------------------------------------------------------------


==================
 2.WFA グレーディングテスト ~初心~ by N
==================

 私がバーに行くのはほとんど1人。強いお酒を黙ってチビチビ飲んでいるの
 が好きなのですが、そうしていると、よく他のお客さんが愚痴っているのが
 漏れ聞こえてきます。確かに私も絶対に誰にも言えないような愚痴をポロッ
 とさらけ出して軽く心が癒された経験は何度もあります。

 実は、私も毎日人の愚痴を聞いています。そして、真剣に考えています・・・
 それも深い、強烈なやつを。それは、読売新聞の「人生案内」。新聞の中程
 に毎日連載されている小さなコラムですが、ここには読者から「悩み」が寄
 せられ、それに日替わりの執筆陣が回答しています。これが味わい深くて愛
 読しています。悩みの種類は様々。家族の問題、夫婦の問題、人生の問題・・・
 例えば今日の悩みは「孫の嫁にストレス」を感じるおばあちゃんの心の叫び
 でした。

 この記事を読むとき、私は回答部分を覆い隠し、まず読者の悩みだけを読み
 ます。そして、自分なりに答えを考え、それから回答者の文章を読みます。
 悩みに共感できる場合、心あたりがある場合は深く考えます。特に夫の無神
 経に悩む妻からの投稿、夫に愛を感じない妻の叫びなど(結構ある)・・・
 ウンウンうなって考え、そして最後に回答者の文章を読むのですが、ほとん
 どの場合、自分は思いもよらない、愛のある美しい文章に感動し、執筆者の
 器の大きさに打ちひしがれます。

 大好きなのはマラソンランナーの増田明美さんの回答。マラソン解説をする
 彼女の声も大好きですが、彼女の持つ深い愛情、人の痛みの分かる心の広さ
 が隅々にあふれた文章に、私はいつも心を癒されています。私もこんな人間
 になりたい・・・いやむしろ悩みを増田明美さん指名で投稿したい・・・

 でも、バーテンダーの皆様は、毎日のように人の悩みを聞いているわけで、
 本当に大変だと思います。人の話をきちんと聞く、心をこめて対応する、と
 いうのは、お客様相手の仕事なら当然かも知れませんが、でもバーテンダー
 の先生方、知人友人にはこの能力がずば抜けている人が多く、すごいなと思
 います。

 もちろん、客としては、きちんとお酒を作っていただけるという前提は重要
 で、そのためにはお酒に関する知識も必要です。当然といえば当然なのです
 が、ボトルを振り回すフレア・バーデンダーをみると、「ちゃんとお酒を作
 っているの?」という向きがあるのも分かります。バーテンダーにしても、
 あのパフォーマンスに感動してフレアを始めたのであればなおさら、投げる
 練習の優先順位が高く、カクテル作りの技術を深めるための時間は二の次に
 なってしまうのもなんとなく想像できます。

 その状況を打破しようと制作されたのが、今回紹介する「WFA グレーディ
 ング テスト」。とにかくバーテンダーとしての基礎知識を、フレアバーテン
 ダーの皆にも知ってもらいたいという趣旨で作成されました。というわけで、
 中身はフレアを教えるというよりは、普通のバーテンダーとしての技術を教え
 るものですが、とても参考になります。

 私たちナランハのスタッフは、お酒、そしてバーテンダーの知識を得るために
 色々活動してきました。外部のスクールに通い、社内研修を繰り返し、バーを
 巡りレポートを書きためています。現場に立てない私たちが何とかその知識と
 技術を得ようと頑張っていますが、その過程ではいつも「教材がない」ことに
 苦労しています。なんで、シェークやステアを解説してくれる良い教材が無い
 んだろう。氷の作り方やグラスの拭き方は、現場でしか教われないのか。情報
 はインターネット上に散在し、特に映像の情報は少なく、困っていました。

 初めてこのDVDを見たとき、私はとても嬉しくなりました。これからの社内
 研修が一気に楽になる。このDVDを一通りやれば、私たちが高いお金を出し
 てスクールに通い、素人同士が効率悪くお互いを教えあったあの時間が短縮で
 きる。そう思いました。むしろ、もっと早くに出会っていればよかった、と。

 元々このDVDは、WFAというフレアの世界組織が制定したレベル認定の
 活動の一環として制作が開始されました。レベル認定の最初は「ホワイト・
 レベル」という名前なのですが、これには「バーテンダーとして通常の業務
 をこなす」という感じの認定基準があり、これをサポートする教材を作ろう
 というのがきっかけです。正直、そのレベル認定どうのこうのは、個人的に
 は関心がありません。制作されたWFAのアジア・ディレクター北條氏も、
 レベル認定のためというよりは、こういう知識を求めているすべての人に向
 けて作成したということで、それが、この作品を非常に素晴らしいものにし
 ています。バーに関わるすべての方に、是非見ていただきたい1本です。

--[ 関連情報 ]--------------------------------------------------------
WFA グレーディングテスト
https://www.naranja.co.jp/bar/web-pages/430
----------------------------------------------------------------------


==================
 3.カタログ配布
==================

 カタログ(バー・ツールVol.5)をご希望の方に差し上げております。
 全国無料で配送いたします。
 https://www.naranja.co.jp/bar/catalog-order よりご請求ください。

==================
 4.新商品情報・お知らせ
==================

 ★DVD「WFA グレーディング テスト Vol.1」販売開始
 https://www.naranja.co.jp/bar/web-pages/430
 ★DVD「トム・ダイヤー フレア・トレーニングDVD」販売開始
 https://www.naranja.co.jp/bar/web-pages/433
 ★ビターズボトル90ml 販売終了
 ★ストレーナーダルトン 販売終了

==================
 5.スタッフ募集中!
==================

 ナランハでは熱意・やる気のあるスタッフを募集しています!
 詳しくはこちらをご覧ください。
 https://www.naranja.co.jp/bar/pages/recruit

==================
 6.6月の休業日のご案内
==================

 6月の休業日は6・13・20・27日となります。
 ホームページ・E-mail・Fax等でのご注文は24時間受け付けておりますが、
 お問い合わせへのご返事・商品の発送などは翌営業日以降となりますので、
 予めご了承ください。

==================
 7.次回発行日のご案内
==================

 当メールマガジンの次号Vol.46は2009年7月2日(木)に配信予定です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 発行: 株式会社ナランハ
     https://www.naranja.co.jp/
     https://www.naranja.co.jp/bar

 執筆: N/S
 Copyright 2009 NARANJA Inc. All Rights Reserved.
 転載の際はご連絡ください。

 登録・解除はこちら: https://www.naranja.co.jp/bar/news-letters

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    
^